「https://」の小さな“s”は、信頼の合図です。
SSL証明書は、サイトと訪問者をそっと守る“通信の鍵”。けれど更新を忘れると、ある日突然アクセス不能に——。
本記事では、SSLの基本と放置リスク、実務での守り方をやさしく解説します。
SSL証明書とは?|Webの安全を守る“通信の鍵”

SSLとは「通信を暗号化するしくみ」
インターネットでは、フォームやCookieなど多くのデータが行き交います。
SSL/TLSは、そのやり取りを暗号化して盗み見や改ざんを防ぐ仕組みです。技術の背景は総務省の解説がわかりやすく、図つきで確認できます(IPA:TLS 暗号設定ガイドライン(公的ガイド))。
暗号化は「内容を読めないよう混ぜる」だけでなく、「途中で書き換えられていない」ことも検証します。
証明書は“サイトの身元証明書”でもある
SSL証明書は、そのサイトを運営する相手が本物かを第三者機関(認証局)が確認した、いわば“身分証”。
ブラウザはこの証明書を読み取り、正しい鍵で通信できるかをチェックします。
「https://」と鍵マークが示す安心感
URLが「https://」で始まり、アドレスバーに鍵アイコンが出ていれば、通信が暗号化されている合図。
GoogleもHTTPSの採用を推奨し、検索上の扱いにも触れています(Google Search Central:ランキング シグナルとしての HTTPS)。
ユーザーにとっては安心して問い合わせや購入ができる前提条件です。
なぜ中小企業サイトでもSSLが必要なのか
お問い合わせフォームや個人情報を守るため

問い合わせ・採用応募・資料請求など、入力フォームがある時点でSSLは必須です。
メールアドレスや電話番号といった個人情報が平文で流れることを防ぎ、顧客の信頼と自社のリスクを守ります。
Google検索評価にも関係する(SEOへの影響)
HTTPSは“軽微なランキング要因”として公式に言及されています(Google Search Central:ランキング シグナルとしての HTTPS)。また、非HTTPSのページはブラウザで「保護されていない通信」と警告されることがあり、直帰や離脱につながりやすく、結果的に検索やCVにも影響します。
信頼されるブランド印象づくりにもつながる
見込み客は無意識に小さな違和感を拾います。鍵マークの欠如や警告表示は、その瞬間に“この会社は大丈夫?”という印象を生みます。SSLはブランドの衛生要因。目立たないけれど、欠けた途端に全体の印象を崩します。
SSL証明書の更新を放置するとどうなる?
「この接続ではプライバシーが保護されません」と表示

有効期限を過ぎると、ブラウザは証明書を信用しなくなり、大きな警告画面を出します。多くの人はここで離脱。社名検索で来た見込み客も、怖くなってタブを閉じてしまいます。
サイトが閲覧不能・問い合わせが途絶えるリスク
一部ブラウザでは、詳細設定から“続行”できる場合もありますが、フォーム送信や埋め込みスクリプトが動かないなどの副作用が起きます。結果としてお問い合わせや購入がゼロになるケースも。広告を回している場合は、費用だけが消える状態に。
メール・外部連携も止まる可能性がある
サブドメインやAPI連携、支払いゲートウェイ、メール送信(SMTP over TLS)など、証明書に依存する周辺機能が多数あります。サイト本体が見えていても、背景で失敗して予約や在庫連携が落ちることがあるため要注意です。
更新・管理を“任せる”のが安全な理由
自社で管理する場合の注意点(期限・発行手順)
自前運用は、①証明書の種類選定(DV/OV/EV)、②CSR作成、③ドメイン/企業実在確認、④サーバー設定、⑤中間証明書の適用、⑥更新サイクルの管理…と専門手順が多いのが難点です。
Let’s Encrypt等の無料SSLが使えるサーバーでも、実務では次の対応が必要になる場合があります。
- サーバによって公開ディレクトリ(設置場所)が異なるため、認証ファイルや設定ファイルが正しく認識されないことがあります。必要に応じてFTP/SFTPでの置き直しが発生します。
- HTMLやテーマ内にhttp://のまま読み込む画像・JS・CSSが残っていると、ブラウザで「まだ保護されていません(混在コンテンツ)」と表示されます。リンクやアセットURLをhttps://へ一括置換し、テンプレートを修正します。
- サブドメイン・CDN・リダイレクトの設定差分により、中間証明書の適用や再発行が必要になることがあります。変更後の動作検証まで含めて対応しましょう。
保守契約に含めておくメリット
- 期限監視と自動更新:監視ツールで事前通知、切れない運用に。
- 設定変更の伴走:サーバー移転やCDN導入時の再発行・再設定をワンストップで。
- 責任の所在が明確:誰が“鍵”を握っているかがはっきりします。
結果として、機会損失の回避と担当者の精神的コスト削減につながります。
業者任せでも“更新時期の確認”だけは意識
任せて安心、はとても大切。ただ、ドメイン更新や契約名義変更など、外部要因で証明書が発行できなくなることがあります。年に一度の棚卸し(契約先・証明書の種類・期限・名義・設置先)をしておくと、いざという時に強い体制になります。
自社で管理する場合の注意点(期限・発行手順)
近年では、エックスサーバーやさくらインターネットなど多くの主要サーバーで、無料で自動更新されるSSL(Let’s Encrypt)が標準搭載されています。このような環境であれば特別な手続きは不要で、常に有効な状態を保つことができます。
もし利用中のサーバーがSSL未対応の場合は、現在のサーバー会社を確認し、無料SSLが使える場合は有効化を依頼しましょう。
無料SSLが利用できないサーバーの場合は、有料SSLの導入、もしくは無料SSL対応サーバーへの移行も検討するのが安心です。
無料SSLと有料SSLの違い(3つのポイント)
- ① 認証レベルの違い:
無料SSL(Let’s Encryptなど)はドメイン認証(DV)のみで、自動発行・自動更新が中心。
有料SSLは企業実在認証(OV)や拡張認証(EV)にも対応し、発行元の確認がより厳密です。 - ② サポート体制の違い:
無料SSLはトラブル発生時に自己解決が前提。
有料SSLはベンダーや保守会社による技術サポート・再発行保証があり、障害対応も迅速です。 - ③ 信頼性とブランド印象:
無料SSLでも暗号化強度は十分ですが、ブラウザや取引先によっては「企業認証あり(OV/EV)」が
より信頼を与えます。特にBtoBや決済を扱うサイトでは有料SSLが推奨されます。
まとめ|小さな鍵が、大きな信頼を守る
SSLは、技術でありながら信用契約でもあります。切れてから慌てるのではなく、仕組みで切れない運用へ。
更新と監視を保守契約に織り込み、年に一度の棚卸しを。小さな“s”が、あなたの事業とお客様の安心を静かに支えます。
BIRTHDeYでは、SSL更新・監視を含むWeb保守と安全診断をご提供しています。
「誰が管理しているかわからない」「連休中に切れたら怖い」——そんな不安があれば、まずは現状チェックからご一緒します。お気軽にご相談ください。
Q&A
Q1. 無料SSLと有料SSLでSEOの差はありますか?
いいえ、Googleの評価基準は「https化されているかどうか」だけです。無料SSLでもSEO効果は同等です。
ただし、有料SSLは企業認証やサポート体制が整っており、サイトの信頼性や安定運用につながるため、結果的に間接的なプラス影響が期待できます。
Q2. 無料SSL(Let’s Encrypt)はどんなときに注意が必要?
エックスサーバーやさくらインターネットなど主要サーバーでは自動更新されるため基本的に安全です。
ただし、サーバによって公開ディレクトリが異なる場合や、HTML内でhttp://のまま画像・スクリプトを読み込んでいる場合は、
「保護されていません」と表示されることがあります。設置パスやファイルの書き換えを確認しましょう。
Q3. 自社サイトがSSL対応か、今すぐ確認する方法は?
ブラウザで自社URLを開き、https://と鍵マークがあるか確認します。
さらに詳しく調べたい場合は、SSL Labs(外部診断ツール)やサーバーの管理パネルで有効期限をチェックします。
Q4. もしSSLが切れてしまったら、まず何をすればいい?
まずはサーバー会社または保守業者へ連絡を。SSLの再発行と設置を依頼します。
あわせてドメイン契約の有効期限も確認し、次回以降の更新スケジュールを共有しておくと安心です。
広告配信やフォーム送信を行っている場合は、一時的に停止して再設定後に再開しましょう。