「フォームはあるのに、鳴らない。」——そんな静けさには理由があります。デザインの巧拙より先に、離脱を生む“落とし穴”が潜みがち。今日は、専門知識がなくても見直せる6つのポイントと、明日からの優先順位をやさしく整理します。

落とし穴1:ページが“遅い”——数秒で心が離れる

重いサイトと軽いサイトの比較イメージ

読み込みが1秒遅れるごとにコンバージョン率は大きく下がると言われ、3秒を超えると離脱率は急増します。せっかくの訪問が「表示されない」だけで失われるのです。

すぐできる対処

  • 画像軽量化:TinyPNGやSquooshなどの無料ツールで見た目を変えずに容量を半分以下に。
  • 次世代フォーマット:JPEGより軽いWebPやAVIFに変換。
  • 不要スクリプトの削除:解析タグや外部ウィジェットが二重に入っていないか確認。
  • キャッシュ設定:再訪問時に素早く表示されるように。
  • サーバーの見直し:共有サーバーが極端に遅い場合は、移転を検討。

まずはGoogle PageSpeed Insightsで数値を測定することから始めましょう。数字にすると、改善の順序も明確になります。

落とし穴2:スマホで使いづらい——“読む手”より“離れる指”が速い

サイトの見やすさ比較イメージ

Googleはモバイル版の内容を主として評価(モバイルファーストインデックス)します。PCでは見えている情報がスマホで欠けていないか、ボタンが押しにくくないか、縦読みで迷子にならないかを点検しましょう。

すぐできる対処

  • 文字サイズは16px以上、行間はゆったり
  • 主要ボタンは親指で届く位置・44px以上
  • 電話ボタンを固定フッターに配置(営業時間も併記)

落とし穴3:フォームが遠い・面倒——“あとでにしよう”はほぼ来ない

読者の視線移動「Fパターン」のイメージ

人の視線は「横に走り、縦に落ちる」傾向があり、これを「Fパターン」と呼びます。つまりページの上部や左寄りに無い要素は、存在していても“見えない”のです。専門用語ですが、**「人はまず上を横に見て、その後で縦に視線を下ろす」**と覚えておくと分かりやすいでしょう。

すぐできる対処

  • 全ページの上部に「お問い合わせ」ボタンを配置
  • フォーム項目は5つ以下に(名前/連絡先/要件)
  • 自動返信メールで「受け付けました」と即時通知

落とし穴4:信頼材料が足りない——“誰に頼むのか”が見えない

ユーザーは“今の情報か”“実績が確かか”で判断します。デザインの美しさだけでなく、最新の内容、明確な料金・流れ、第三者の証拠(レビュー、受賞、掲載実績、外部SNSなど)を揃えると、相談への心理的ハードルが下がります。

すぐできる対処

  • 直近の実績3件を写真つきで(日付を明記)
  • 価格は“目安レンジ+よくある見積例”で透明化
  • 企業情報に所在地・代表名・連絡先・各SNSへのリンク

落とし穴5:次の一歩が提示されていない——CTAの“文言と場所”

CTAの有り無しページのイメージ

「無料相談」「資料請求」「来店予約」など、行ってほしい次の行動を具体的に書きます。文言は“ベネフィット+行動”が鉄則(例:「3分で相談予約」)。CTAは1ページに1ゴールが基本。複数あると迷います。速度×モバイル×信頼×短いフォームが土台にあり、CTAが背中を押す——この順序で整えると効果が出やすいです。

落とし穴6:そもそもアクセスはあるのか?——“ゼロ”なら改善も届かない

問い合わせが来ない原因は「導線」だけではありません。アクセス自体が無ければ、当然問い合わせもありません。

まずはGoogle AnalyticsやSearch Consoleを導入し、**「アクセスが少ないのか/あるのに離脱しているのか」**を把握しましょう。前者ならSEOの基礎——タイトルや見出しに検索されやすい言葉を入れることから始めます。

社内レビューで磨く——“自分以外の目”を取り入れる

自分のサイトは「分かりやすい」と思いがちですが、外部の人には伝わっていないことが多いです。社内で「どこが分かりにくい?」と聞くだけでも改善点が見つかります。伝わるかどうかを第三者に試すことが、問い合わせにつながるコンテンツを作る第一歩です。

どこから直す?——明日からの優先順位

1. 速度(画像・スクリプトの整理)→ 2) モバイル体験(文字・ボタン・欠落なし)→ 3) フォーム短縮(見つけやすく・少ない項目)→ 4) 信頼材料の補強(最新情報・実績・外部リンク)→ 5) CTAの一本化。

この5つは「専門知識が深くなくても着手できる順」。まずはトップとサービスページだけでも回すと、体感で変化が出ます。

そして並行して アクセス計測(Analytics) と 社内レビュー を進める。この順序で整えれば、限られたリソースでも実感できる成果が得られます。

まとめ

問い合わせが来ないのは“能力不足”ではなく“仕組みの順序”の問題です。速く、見やすく、信じられる道筋を整え、アクセス状況を把握し、外部の目で磨く。それだけで、小さなサイトでも声は届きます。

Q&A

Q1. 予算が少ないのですが、どれから外注すべき?

A. 画像最適化やフォーム短縮は内製しやすいです。コード調整が絡む速度改善と、迷いを減らす導線設計は外注効果が高い領域です。最初はトップ・サービス・お問い合わせの3ページに絞って依頼しましょう。

Q2. ブログやSNSが止まっていても大丈夫?

A. “最新の情報”は信頼の根拠です。月1本の更新でも、実績や事例の日付を明記するだけで印象は変わります。企業情報と外部SNSへのリンクで裏取り可能にするのも有効です。

Q3. 問い合わせフォームは詳細に聞いた方が効率的では?

A. 長いフォームは“送られない”リスクが大きいです。最小限で受け、必要事項は返信で確認する方が総合的に歩留まりが良くなります。

Q4. スマホ対応はどの程度まで?

A. 文字サイズ・ボタンタップ領域・主要情報の欠落防止が最低ライン。Googleのモバイルファースト方針に合う形で、まずは読める・押せる・迷わないを揃えましょう。

Q5. サーバー移転は効果的ですか?

A. はい。速度が“根本的に遅い”場合は、サーバー移転が唯一の解決策になることもあります。レンタルサーバーを乗り換えるだけで体感が変わるケースも多いです。

Q6. SEOはどこまでやればいいですか?

A. まずは基礎で十分です。タイトル・見出し・本文をユーザーが検索しそうな言葉で書く。アクセスが確認できてから、詳細なSEOに進みましょう。

参考資料